風通織袋帯「オリエンタルカーペット」

 日本語でも英語でもない500ページほどの資料の中でも独特のデザインだったカーペットを眺めていて、この柄のイメージが浮かんできました。その資料の多くは製作された時期や場所に関する記載があるのですが、このカーペットや一部の物は「個人所蔵」ということ以外は記載されていませんでした。こうなるとどのようなストーリーがあるのだろうと考えるのも楽しいもので、他の資料などから1900年代中期から後期に作られたのではないかと推測しています。

 帯を見たときに目を惹くのは写真左側部分の大きな木とメダリオンになりますが、右側部分の木の描き方がとても独創的で、「このように木を描ける人ってすごいな」と感心させられます。

 この緑色は以前から「いつか作りたい」と思っていました。黄味を感じさせない鮮やかな緑色を作ることは難しく、絹の先染めの織物に限らず、見かけることが珍しい色ではないでしょうか。

 木屋太の要求する色が落ちにくい、高い染織堅牢度のある染材になると高価であるにもかかわらず、その色種、特に綺麗な色は極端に減っていきます。(木屋太の御召のように湯の中に浸す工程があると色が溶け出すので西陣で定番とされる染材の多くは使用できません)また染織の際の温度や媒染などのコンディションも極端にシビアになっていきます。木屋太では糸染屋さんと膝を突き合わせてその段階から工夫を重ねています。

 緑色の帯というと珍しいのですが、ベージュや黄色、茶色、モノトーンの着物にも似合うので「ちょっと人と違う」アイテムとしてお勧めしたい帯になります。